CASE STUDY OF

CANADA GOOSE
NOMAD COLLECTION

ROLE: Creative Direction, Art Direction, Video Production, Editorial and SNS, Retail Theater, Art Installation

DELIVERABLE: Video, Photo, Copywriting, Retail Theater, Art Installation

DATE: APR 2019

日本の春と雨から着想された、Canada GooseとGORE-TEXのコラボ商品、NOMAD CAPSULE COLLECTIONの統合キャンペーンをお手伝いしました。アイデア、クリエイティブディレクション、アートディレクション、コピーライティング、映像、ソーシャルメディア用コンテンツ、販売店デザイン、ミラノデザインウィークにおけるインスタレーションとARアプリの開発を担当しています。

PLAY

芸術、工芸、そして日本の精神

Canada Gooseは高度な技術と機能性に優れたブランドで、極寒の北極圏で支持されるほどの機能性とデザイン性に富んだアイテムを取り揃えています。60年間にわたり、寒い時期には欠かせないダウンジャケットとしての地位を維持し続けてきましたが、あらゆる天候やコンディション時にも着用出来るアウターウェアのブランドとしても認知を広げていく必要がありました。今回のキャンペーンでは、雨の恵みが根付いている日本の文化にインスピレーションを受けた、統合プロモーションを企画しました。

新しい領域、新しい戦い、新しい挑戦

防寒着として世界中で知名度の高いCanada Gooseではありますが、温暖な気候のブランドとしてはまだ認知度が低く、春のファッションにおいてはまだ知名度が高いとは言えません。ファッションと機能性の境界線がますます薄れていく中、消費者の行動や感覚の変化が起きています。ファッション性と機能性の融合が求められている今が、オールシーズン・オールコンディションに対応するCanada Gooseを、誰もが認めるアウターウェアブランドのリーダーと位置付けさせる絶好のチャンス。課題としては、どの様にして世界中より多くの人にこのミッションとステータスを伝達するのかということでした。

雨の祭典

アジア市場、特に流行に敏感な日本や中国でのCanada Goose人気は急激な成長を見せています。この傾向から、自然の恵みでもある予測不可能な春の雨に感謝を込めて、Canada GooseはGORE-TEXとタッグを組みNOMAD CAPSULE COLLECTIONの開発に力を入れました。

日本で生まれ、日本の豊かな文化に触発されたこのプロモーションには、日本人が育んできた文化を讃えるメッセージを込めています。そこで、サウンドアーティストの岡本光市氏、書道家の山口碧生氏とコラボレーションをし、2人の日本人のリアルな物語を聞き出すことで、製品の信憑性を高めました。
雨は恵・循環・命を表します。このキャンペーンは、その偉大な雨が、日本の歴史の中で芸術や創造性をいかに刺激してきたか、感謝して祝う意味を込めたものです。

日本には四季があり、春には長雨が降ります。日本人が雨に畏敬の念を抱き作り上げてきた文化と、最先端技術を用いたCanada Gooseの製品を結びつけることで、消費者の中で機能性を第一に印象付けることを目指しました。

五感で体験する総合プロモーション

岡本氏は映像の中で、「雨は身体や耳で感じることのできる身近な現象の一つ」と述べています。雨に包まれた感覚を表現するために、私たちは五感で体験できる総合的なプロモーションを作り上げました。

映像・音楽・イメージ・香り・リテールシアター・インスタレーションを通じてCanada Gooseの業界トップである技術と性能を展示。実際に製品を見て、感じ、匂いを吸い込み、動かして、Canada Gooseと言うブランドのすべてを世界中の人々に体験してもらいました。結果、自然やアート、さらには人間の存在というものに夢中になれるような祭典となりました。

岡本光市 - サウンドアーティスト

サウンドプロデューサー・プロダクトデザイナーである岡本氏。1997年よりオランダのテクノレーベル“X-Trax”より音源をリリース。2006年に中西あやこ氏と山口有一氏らと共に共栄デザインを設立。革新的な体験型作品のデザインと制作を専門に取り扱っています。 彼の作品は、SF MoMA、ブラジル、イスラエル、V&A美術館をはじめ国内外で展示されています。

このプロジェクトにおいて、岡本氏は雨の音から芸術を作り出し、自然と調和する音色を生み出しました。日本で生まれ育った岡本氏のアートは日本のミニマリストなカルチャーと純真さで形成されています。彼がこのプロジェクトのために作ったサウンドピースは日本でも降水量の多い和歌山でフィールドレコーディングをして録音されました。

山口碧生 - 書家アーティスト

山口碧生氏は、6歳のときに書道を始め、著名な師範・佐藤瑞鳳のもと書道を学びました。彼女の作品は現代的な芸術的表現と伝統的な東部の古典文化がミックスされています。ライブ書道パフォーマンスでは、書道芸術を平面の静止状態から開放。書く瞬間に、その空間を流れる時間、静と動、感情や熱が体感できる立体表現へと変換します。

山口氏は「長く続くがいたって穏やかな、早春の雨の日」にインスピレーションを受けたといいます。魂を込め入れる筆には自然と味があり、はね・はらいの伝統的な表現を使用しています。今回の作品で大きく「春霖(しゅんりん)」 という言葉を披露、空から降ってくる雨の雫を“再生”と象徴し、表現しました。

映像について

和歌山県でサウンド、プロダクトデザイナー、アーティスト兼音楽プロデューサーである岡本光市氏と、東京の路上では書道アーティスト山口碧生氏と撮影を行いました。この映像は、雨とその3つの要素である大気、地球、そして水からインスピレーションを得たユニークな2人のアーティストの物語を語っています。

私たちは、何千年も前から世界中の人々が熊野三山を目指し巡礼者が歩いた巡礼の道、熊野古道を回りました。そこでサウンドデザイナーの岡本光市氏は、雨の本質を最も純粋な形でとらえることに成功しています。 書道家の山口碧生氏は東京の密集した都会のジャングルを回りました。 彼女は周囲から、特に自然や四季から刺激を受け彼女独特な書道パフォーマンスを生み出します。彼女のパフォーマンスはスタジオで撮影され、特別に用意された精巧な雨の装置と共に撮影を行いました。

RETAIL THEATER

五感で感じるギャラリー体験

千駄ヶ谷にある旗艦店の内装デザインでは、GORE-TEX NOMAD CAPSULE COLLECTIONにスポットライトを当て、店舗をアートも味わえる空間へと変化をさせました。今回のリテールシアターでは、繊細で神秘的な雨、春や和歌山の緑豊かの森林の特徴を表現する事に一番意識を注ぎました。 日米欧のアーティストによる世界的なコラボレーションのインスタレーションは、厳選された作品で構成されています。 部屋の香りと窓に装飾された植物は、和歌山の緑豊かな森林からインスピレーションを受け、これらは岡本氏が作成した聴覚的要素を組み込んだ背景と一体化しています。 特大のライトボックス画像と映像は、通行人からも見られるように4メートルのスクリーンに表示されました。今回のリテールシアターは、アートギャラリーとしての要素も盛り込まれており、部屋中にはアーティスト達の名前カードが配置され、このプロジェクトへの関わり方を紹介しています。ゲストにとって、日本の文化とプロモーションを体感できる空間となりました。

ミラノデザインウィーク 雨を表わす50の言葉

日本語には雨を表現する言葉が50以上存在します。この日本特有な文化的背景から、音、雨、墨、そして日本文化を探求するインスピレーションとなりました。 日本の降雨との関係をさらに深めるために、岡本氏の協力のもと、没入型インスタレーションを制作し、ミラノデザインウィークで発表しました。 トルトーナ地区の中心部にある19世紀の建物の中庭を利用し、ゲストに没入型インスタレーションを楽しんでいただきました。 ミラートンネルを通り抜け3メートルの液晶画面にはNOMADの映像が繰り返し再生され、中庭に到着するとこのイベントのため岡本氏が作成した雨を題材とした音やセットがゲストの前に現れます。 水の入った木製のバケツが部屋中に設置され、ゲストがその水を壁にかけることで、特殊なインクの層の下に隠されたさまざまな漢字が浮き出てきます。私たちが開発したウェブARアプリを用いて、ゲストは自分のスマートフォンを壁にかざすことにより、漢字の意味を知ることができます。1500人を超えるゲストに楽しんでいただき、国内外のさまざまなメディアに取り上げていただきました。

Credits

Client: Canada Goose

Our role: Creative Direction, Art Direction, Video Production, Editorial and SNS, Retail Theater, Art Installation

Creative Director & Copywriter: Chace Fedor (monopo Tokyo)

Account Executive & Campaign Producer: Georgi Roberts (monopo Tokyo)

Director & Editor & Composer: Jeremy Rubier

DP: Oliver Millar

Producer: Anna Liu

Artist: Kouichi Okamoto

Artist: Aoi Yamaguchi

Stylist: Chace Fedor (monopo Tokyo)

VO Director & Copywriter: Tomoki Inaguma (monopo Tokyo)

Photographer: Kageaki Smith

Sound Producer & Mixer: Justin Frieden

PM: Kento Tsukamoto

PM: Tomoki Shiraishi

1st AC: Yuka Mashiro

2nd AC: Yuka Minami

Drone Operator: Peter Majtan

1st AD: Kai Sandy

2nd AD: Nozomi de Lencquesaing

Hair and Make Up: Kana Asano

DIT: Kyle Mccloskey

DIT: Lespace

Colour Grade: Lespace

Steadicam: Koji Naoi

Gaffer: Jun Tanaka

Lighting: Makoto Kashiwakura

Key Grip: Yudai Sato

Grip: Griffith

PA: Elena Assenheimer (monopo Tokyo)

PA: Katsuhito Okubo (monopo Tokyo)

Art Department: Tokyo Bijitsu

Milan Design Week

Creative Director & Artist: Kouichi Okamoto

Art Director & Designer: Michele Angeloro (monopo Tokyo)

AR & Web Developer: Taisei Dofuku (monopo Tokyo)

Retail Design

Retail Construction: JOKE. Inc.

Botanical Artist: Daisuke Shimura

Olfactory Designer: Aoiro Air Design

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