UESHIMA COFFEE LOUNGE REBRANDING

上島珈琲店は、昭和初期から続く日本の喫茶文化を大切にしながら、日常に「上質なひととき」を提供してきました。国内外でのさらなる展開を見据えた今回のプロジェクトでは、これまで暗黙のうちに共有されていた価値観や信念を、改めて言葉として定義することからスタートしました。

キーワードとなったのは「脱皮」。長年大切にしてきた文化や品質を守りながら、 この先取り組んでいくことへの必然性を持たせつつブランドが大きく変わった印象を構築する。
これまでブランドが取り組んできたことを踏まえながらも現代的な感性とともにブランドを進化させるという意志を象徴する言葉です。

本プロジェクトでは、上島珈琲店が目指すブランドの在り方を複数回のワークショップ形式で丁寧に抽出。単なるポジショニングの言語化ではなく、ブランドと顧客との「接点」そのものを再解釈し、以下のようなミッション・バリュー・コンセプトを開発しました。

ミッション：「STAY TRUE.」
バリュー：「一杯一時一生」
コンセプト：「EVERYDAY RETREAT」

すべて日英対応で開発されており、社内での共有やグローバル展開にも対応。感覚的な共感とロジックの両軸から、ブランドの信頼性を高め、社外に向けても直接使用できる語り口にしています。
いままで明文化されていなかったブランドが大切にしてきたことを落とし込み、「上島珈琲店とは」を表す言葉たちとなりました。

ロゴは長年親しまれてきた既存デザインへのリスペクトを保ちつつ、細部のレイアウトやカラーをブラッシュアップ。社長自身の強い思い入れがある部分だからこそ、変更点は最小限にしつつより洗練された形かつ、日本らしさも感じられる顔つきに仕上げ、ブランドの進化を表現しています。

クリエイティブ全体のガイドラインも刷新。店舗・Webサイト・SNSなどで一貫したブランド体験ができるよう、撮り下ろしのビジュアル素材を制作。オランダ出身のフォトグラファーNik van der Giesenを起用し欧州の視点を取り入れることで、喫茶店文化を「世界に伝わる美意識」としてビジュアルにおいても再定義しています。

この新たなガイドラインを元にまずはWebサイトのリニューアルを実施しました。
より上島珈琲店の哲学、想いを感じとれるような世界観と情報構成となっています。
このガイドラインは今後、実店舗の装飾やメニューにも反映を予定しています。

今回のプロジェクトは、単なるビジュアルやコピーの刷新にとどまらず、上島珈琲店というブランドの根幹を見つめ直し、内外に向けて再定義する取り組みでした。喫茶店文化という日本独自の生活様式をどう未来につなげ、世界に伝えていくか——その問いに対して、monopoはブランドの言葉・体験・ビジュアルすべての側面から包括的にアプローチしました。上島珈琲店をきっかけに日本の喫茶店文化を海外にも広げていく一助となれば幸いです。